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[企業解説]フジテレビの歴史:③ライブドアによる買収騒動とライブドアの崩壊

ビジネス

堀江貴文率いるライブドアによるフジテレビ買収騒動は、日本のメディア業界、金融市場、政治が複雑に絡み合った大事件だった。
この買収劇は、当時成長著しいIT会社のライブドアがニッポン放送を子会社化し、結果的にフジテレビを傘下に置くことを狙ったものだったが、フジテレビ側の強硬な抵抗と政治的な圧力により最終的には失敗に終わった。
そして、日枝久の逆鱗に触れたライブドアは崩壊し、堀江貴文は刑務所に送り込まれるのであった。本記事では、騒動の背景、ライブドアの戦略、フジテレビの防衛策、そしてその後の影響について詳しく解説する。

1. 騒動の背景:フジテレビとニッポン放送の関係

フジテレビはもともと、親会社である「ニッポン放送」に支配されていた。しかし、時代の流れとともに、テレビがラジオを圧倒的に上回るメディアとなり、フジテレビの経営陣は支配権を強化しようと試みるようになった。

当時の日本の会社法では、親会社が25%以上の株式を持つ場合、子会社が親会社の株を取得しても議決権が発生しないという規定があった。そのため、フジテレビが自社の支配権を強化するためには、ニッポン放送の株式保有比率を下げる必要があった。
この目的を達成するため、フジテレビは1990年代に上場し、増資を行いながらニッポン放送の影響力を弱める戦略を進めていた

このような経営戦略が進む中、ニッポン放送の株価は割安になっており、投資家にとっては格好のターゲットとなっていた。そこに目をつけたのが「村上ファンド」であり、次いで「ライブドア」が参入することになった。


2. 村上ファンドの介入とライブドアの参戦

2000年代初頭、投資ファンドの「村上ファンド」がニッポン放送の株を大量に買い集めた。村上ファンドは、「物言う株主」として企業の経営に影響を与え、高値での売却を狙うスタイルを取っていた。彼らは、ニッポン放送の株価が実際の企業価値よりも低いことを利用し、株を安く買い、最終的に高値で売却する計画を立てていた。

一方、ライブドアの堀江貴文氏も、メディア事業に興味を持っており、ネットとテレビを融合させる構想を抱いていた。ライブドアは、村上ファンドと同様にニッポン放送の買収に動き始め、2005年2月にはニッポン放送の株式35%を取得し、経営権の掌握を狙った。

3. ライブドアの買収戦略:MSCBを活用した資金調達

ライブドアがニッポン放送を買収するために活用したのが、「MSCB(ムービング・ストライク・コンバーチブル・ボンド)」と呼ばれる転換社債型新株予約権付社債だった。

MSCBとは、株価に応じて転換価格が変動する社債であり、企業にとっては短期間で大規模な資金を調達できる手段だった。ライブドアはこの手法を使って800億円を調達し、総額1000億円規模の買収資金を確保した。

さらに、ライブドアはTOB(公開買付)を回避するため、市場内の時間外取引(トストネット取引)を利用し、短期間で大量のニッポン放送株を取得した。これにより、フジテレビ側が対応する前に経営権を掌握することを狙った。

4. フジテレビの反撃:政治的圧力と経済的制裁

ライブドアの急激な買収攻勢に対し、フジテレビは強硬な対抗策を取った。

(1) 政治的圧力の活用

フジテレビは、放送業界と政治との強い関係を利用し、ライブドアの買収を阻止するためのロビー活動を展開した。(森喜朗元首相とフジテレビの日枝久は親交があった)これにより、メディア業界に対する外資規制の強化が進み、テレビ局の支配が容易には奪えないようになった。

(2) 経済的な圧力

フジテレビは、大手企業に対し「ライブドアと取引をしないよう圧力をかける」ことで、ライブドアの収益源を断とうとした。この結果、ライブドアは広告主や金融機関からの支援を失い、資金調達が難しくなった。

また、ライブドアはリース契約による高価なコンピューター機材を多数所有していたが、フジテレビの影響力によってリース契約の更新が拒否される事態にも陥った。


5. ホワイトナイトの登場と最終決着

この状況の中で登場したのが、SBIホールディングスの北尾吉孝氏だった。彼は「ホワイトナイト」としてフジテレビを支援し、ライブドアによる買収を阻止するための対抗策を打ち出した。

最終的に、ライブドアはフジテレビと和解し、買収したニッポン放送株を取得額と同額で売却することになった。さらに、ライブドアはフジテレビから400億円の出資を受けることで合意した。

これにより、ライブドアは短期的には資金を確保できたが、買収計画は完全に頓挫した。


6. その後の影響とライブドア事件

この騒動を受け、政府は「認定放送持ち株会社制度」を導入し、特定の企業がテレビ局を買収することをより困難にした。この制度により、放送局の支配権は分散され、外部の企業が簡単に経営権を握ることができなくなった

また、この騒動のわずか1年後、ライブドアは「証券取引法違反(粉飾決算)」の疑いで強制捜査を受け、堀江貴文氏は逮捕されることになった。この逮捕劇により、ライブドアは事実上崩壊し、フジテレビは完全に買収の脅威から解放された。
(フジサンケイグループの産経新聞の力を使い情報を探させてたといわれている)


7. まとめ

この一連の騒動は、フジテレビの資本政策の脆弱性、ライブドアの攻撃的な買収戦略、そしてメディア業界の政治的な影響力の強さを浮き彫りにした。結果として、放送業界の買収はより困難になり、テレビ局は既存の支配層によって守られる仕組みが強化された。

もしライブドアが買収に成功していた場合、日本のメディア業界の構造は大きく変わっていたかもしれない。しかし、最終的には既存の権力構造が勝利し、ライブドアは消滅する運命をたどった

その後、堀江貴文は長野の刑務所に送られるのであった。

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